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構造物の稼動時間が長くなると、当然のようにその材料の劣化が進み、トラブルの原因となります。特にボイラなどの高温・高圧に対して厳しい使用条件のもとで使用される部材は、「クリープ損傷」や「低サイクル疲労破壊」などのように、比較的長時間で発生するトラブルが多く、これらに対する余寿命判定は特に重要です。このような高温・高圧部材の一般的な余寿命の判定技術は、大別すると次のようなものがあります。

【1】 破壊検査法
【2】 非破壊検査法
【3】 解析法
【4】 傾向管理法

このうち【1】と【2】の方法は、直接その部材を用いて判定する点で特に信頼性の高い方法です。しかしながら、実際の構造物や部品は、その大きさや再利用等を考えると切断して調査する「破壊検査法」は困難な場合があります。
材料技術部では、このように破壊できない製品の余寿命診断を、【2】非破壊検査法について川崎重工業(株)技術研究所のご指導の元で、多数の各種材料の損傷診断を実施してまいりました。
ここでは、特にクリープ損傷に対するボイラの余寿命診断技術の一部をご紹介いたします。


レプリカ法硬さ測定法




対象部材の組織や割れ・ボイドなどの損傷形態を非破壊的に観察する方法で、採取したレプリカを用いてクリープ損傷の進行状況や組織の変化などを把握できます。

<レプリカ採取状況>

<スンプ法の作業手順>

レプリカ法を用いた損傷診断技術の具体的な手法については次のようなものがあります。

(1)クリープボイド観察による評価
STPA24材のHAZ部等の診断に有効な方法。レプリカ法にて採取された組織中に認められるボイドを観察し、クリープ損傷の程度を把握します。その定量的診断手法としては「Aパラメータ法」などがあります。
※Aパラメータ法
観察された金属組織において一次応力の方向に直線を引き、この直線とクリープボイドの発生した粒界数と全粒界数との比で定義する方法。求めたAパラメータ値とマスターデータとの比較で、対象部材のクリープ破断寿命消費率を求めることができます。

<Aパラメータ法>

(2)結晶粒変形法
これは、延性クリープ破壊を起こすCr-Mo低合金鋼(母材)等の診断に有効な方法です。主応力方向に対して結晶粒自体が徐々に伸ばされるため、これを観察してその程度を把握します。その定量的手法としては「フィレ径比」を用いた方法などがあります。
※フィレ径比
主応力方向とそれに直角な方向の結晶粒の径の比を表すパラメータ(α値ともいう)。求めたα値とマスターデータとの比較で、対象部材のクリープ破断寿命消費率を求めることができます。また、α値とクリープ伸びとの間に直線関係が有ることから、定点観察を定期的に行うことでその部位でのクリープ曲線を得ることもできます。

<結晶粒変形法>

(3)組織対比法
これは、あらかじめ様々な時間でクリープ損傷を受けた試料を用いて作成された標準組織と、診断したい部位のスンプ組織とを比較してクリープ損傷量を推定する方法です。その具体的手法としては次のようなものがあります。
1) 粒界炭化物粒径測定法:
粒界三重点付近の炭化物の大きさをマスターデータと比較・検討
2) 標準組織対比法:
  パーライト・ベイナイト中のセメンタイトの分解・固溶状況をマスターデータの標準写真と比較
3) 粒内炭化物観察法:
  フェライト中の微細炭化物析出状況をマスターデータの標準写真と比較・検討

なお、材料技術部では、上記フィレ径比や粒界炭化物粒径などのデータについては「画像解析装置」を用いた計測を行い、信頼性・再現性の高いデータによって評価しております。

<粒界炭化物粒径測定法>

(↓)<粒内炭化物観察法>

(↑)<標準組織対比法>



材料の硬さは、ひずみや温度の履歴を受けると変化します。例えば、Cr-Mo系鋼材は、長時間高温に曝されることによって、軟化する傾向があることが知られています。このような材料の硬さの変化に着目して部材の硬さを測定し、マスターデータと比較検討して寿命評価する方法が硬さ測定法です。
当部では、測定プローブで対象物に圧痕を押し付けるだけで測定でき、信頼性の高い「超音波接触インピーダンス法(UCI法)」を用いた超音波硬度計を使用し、硬さ測定法による余寿命評価を実施しています。

<超音波硬度計>
(MIC10-DL型)

<硬さ測定法>

当社では、これらの各手法を用いて判定された損傷量について総合的に考察し、クリープ損傷の総合評価を行い、調査対象物の余寿命判断を実施しております。

【参考文献】
日本機械学会 編:動力プラント・構造物の余寿命評価技術 (技報堂出版)

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