技術分野

構造・流体解析

技術レポート

有限要素法を用いた構造解析と強度評価の事例

 有限要素法(FEM)を用いた構造解析は、構造設計のツールの一つとなって定着しており、詳細な検討を行う際には、構造解析とその結果に基づく強度評価は不可欠となっています。
 しかしながら、FEMを用いた構造解析では構造物をモデル化した解析を行いますので、解析結果をどの様な強度評価に使用するかをよく考える必要があります。
 ここでは、有限要素法を用いた構造解析と強度評価方法について、幾つかの例を紹介いたします。

1.静強度評価の例

 局部的な応力集中は関係なく、荷重伝達部の公称応力を求め、材料の静的許容応力と比較して静強度評価を行います。なお、ASME Code Sec. Ⅲ に定義される1次応力がこの公称応力に相当します。

(注)ASME(the American Society of Mechanical Engineers)

2.疲労強度評価の例

・母材

 母材での疲労破損は形状不連続部(応力集中部)から起こります。構造解析で局部の最大応力を求め、その高応力領域の大きさ等も考慮して疲労強度評価を行います。

・連続溶接部

 溶接部の疲労強度評価は一般に公称応力を用いて行われます。構造解析で溶接部近傍の公称応力を求め、JSSC(日本鋼構造協会)の疲労設計指針などを参照して疲労強度評価します。

・点溶接部(抵抗スポット溶接など)

 点溶接部に作用する荷重を求め、別途取得した荷重基準の疲労線図に当てはめて疲労強度評価します。

このように当社では、単にFEMを用いた受託解析を行うだけでなく、お客様の望まれる強度評価に対し最も適したモデル化および強度評価方法をご提案いたします。