技術分野

パワエレ・電子

技術レポート

インバータ装置を搭載した製品のご紹介

 近年、地球環境に対して負荷の少ない自然界のエネルギーや再利用できる資源を使って生まれたグリーンエネルギー分野が注目されています。その技術の中核として、パワーエレクトロニクス(以下、パワエレ)技術があり、インバータ装置を軸とした照明器具、エアコンなどの家電全般や、ハイブリッドカーなどに適用されています。当社では、パワエレ技術に初期の段階から注目して技術の蓄積を行って参りました。このインバータ装置を使用した製品についてご紹介します。

1.インバータ装置とは

  インバータ(Inverter)装置とは、交流を一旦直流に変換(コンバータ回路)した後、再度交流に変換(インバータ回路)する装置のことで、電気の電圧の大きさと周波数を自在に変えることができます。ここで、直流を交流に変換して出力する制御方式をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御といい、主にモータ駆動の制御に使用されています。

2.PWM制御とは

図1 PWM波形

【図1 PWM波形】

  PWMとは、図1に示すように直流電圧の大きさを変えずに、パルス状(黄色の棒グラフ)にし、パルスのデューティー比(ON/OFFの比)を変化させることで種々の波形を実現する変調方法のことをいいます。電圧を加える時間間隔で擬似的に電圧を制御する方式なので、無駄なエネルギーはほとんど発生しません。
 モータに最適な電圧を印加することで、容易に回転速度や出力を制御できるなど、エネルギーの無駄を減らすとともに高機能な制御を実現することができます。

図1 PWM波形

【図1 PWM波形】

3.インバータ装置を使用した製品の紹介

 当社の製品には、インバータ装置を使用した以下の製品があります。

  • 車両搭載用換気制御装置
  • 川崎MAGターボ用電力変換装置

 これらは、川崎重工業(株)のシステム技術開発センターで開発した開発品を当社で製品化したものです。以下に、これら製品についてご説明します。

(1)車両搭載用換気制御装置

図2 換気制御装置

【図2 換気制御装置】

 車両搭載用換気装置は、連続的に給気ファンにより新鮮外気を車外から客室内へ送り込み、排気ファンにより客室内空気を車外へ排出し、給気/排気ファンのモータ駆動を制御することで、車内圧力をある一定状態に保持(圧力制御)する装置です。
 当社は、この換気装置の制御装置(図2参照)を製品化し、インバータによる圧力制御により、快適な車内空間を実現しています。

図2 換気制御装置

【図2 換気制御装置】

(2)川崎MAGターボ用電力変換装置

図3 電力変換装置

【図3 電力変換装置】

 川崎MAGターボは、インバータ制御式高速モータのロータの軸端に羽根車を直接取付けたブロワで、磁気軸受により浮上したロータは機械的非接触を保ちながら高速回転します。電力変換装置(図3)は、この浮上したロータを高速で回転制御する装置です。
 インバータによる回転速度制御とインレットベーン制御の組合せにより、高い部分負荷効率と広い風量制御範囲を実現しています。

図3 電力変換装置

【図3 電力変換装置】

 ここにご紹介しました当社製品は小規模~中規模の電力タイプのものですが、今後さらに大規模クラスの電力タイプに対応した製品をご提供して行きたいと考えています。