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事例・実績

LNG船舶用ボイラ制御装置

はじめに

 近年、窒素酸化物、硫化酸化物の発生の少ない環境に優しいエネルギーとして液化天然ガス(LNG)が注目されています。LNGは-163度の低温での輸送が必要ですが、冷却輸送中にも僅かながら蒸発分が存在します。これを無駄に放出するのではなく、舶用ボイラで燃焼させて蒸気タービンの動力や船内電力として回収することにより、エネルギーの有効利用を行っています。

LNG船の特長

 LNG船の特長は主機関に蒸気タービンと舶用ボイラを採用していることです。通常の船と異なり、重油に加えて、積載貨物であるLNGも推進燃料として利用可能です。LNG船は、一般的に全長300m近く、全幅約50mにもおよぶ大型船です。日本一高いビルである横浜ランドマークタワーが高さ296mですから、これをそのまま横にして海に浮かべた姿を想像していただくと、その大きさが容易にイメージできると思います。その大型船の心臓部であるボイラの制御装置を、当社は納入しています。

LNG船の特長

舶用ボイラ制御装置

 船の航行状態によりボイラに要求される負荷は変化しますが、蒸気タービンの負荷の急増・急減にも拘わらず、ボイラはタービン入口の蒸気圧力・蒸気温度を一定に保つ必要があります。そのためにボイラの負荷に応じた燃料(重油、LNG)流量、空気流量、給水流量、蒸気温度等の制御を行います。また、ボイラにはバーナが3本装備されており、負荷に応じて燃焼バーナの本数を変更します。さらに、重油専焼、LNG専焼、重油/LNG混焼の各燃焼モードの切替えも実施します。

 当社の舶用ボイラ装置は、各種船級規格を取得しており、優れた対環境性能と片系故障では全く機能喪失を生じない1フォールトトレラントを保証した二重系構成、万一の非常時のための独立した保安インターロック回路と点火回路を有し、十分な性能と信頼性を確保しています。

 さらに、New-GMSやEco BOTといったCARGO荷役部と連携した先進の蒸発ガスハンドリングの設計思想を取り入れたり、港停泊時のLNG専焼を可能にするなど、環境負荷と燃費を抑えるいくつもの特長を有します。

LNG船舶用ボイラ制御装置

  • ボイラ制御盤
    ボイラ制御盤
  • 制御装置演算部
    制御装置演算部
  • 現場操作盤
    現場操作盤

納入実績

  • 川崎造船殿 ENERGY FRONTIER
    川崎造船殿 ENERGY FRONTIER
    (船主: 東京エルエヌジータンカー株式会社殿)
  • 川崎造船殿 MUSCAT LNG
    川崎造船殿 MUSCAT LNG
    (船主: OASIS LNG CARRIER S.A.殿)

○受注実績 約20隻