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ゲスト

田島英一氏  インタビュー

    「物流機器を24時間サポート!」

オークラサービス株式会社
代表取締役社長
    大庫 隆夫 氏

 


1.事業内容について教えてください。

 オークラサービス株式会社(以下オークラサービスと称する)は、コンベアやロボットパレタイザーなど、物流システムや搬送の機械を作っているオークラ輸送機株式会社(以下オークラ輸送機と称する)の子会社です。グループの子会社の中では従業員200人、年商70億で一番大きく、昨年創立35周年を迎えました。オークラ輸送機は私の祖父の興した会社で、現在私の兄が三代目の社長をしております。昔は単純な機械を作っていましたが、今では大きなシステムとして配送センターや流通センター、空港などに納めています。

 オークラサービスの一番の事業はオークラ輸送機の製品の据付工事を行う工事事業です。出荷から据付、調整までを行います。そして納品後のアフターサービス全般を担当しています。機械と言うのは必ず劣化して壊れます。また、運搬用の機械と言うのは省力化投資の機械ですから、停まるとお客様は大変困ります。もし空港の仕分けラインが停まりますと離発着もできません。そういう時に出動して対応するのがオークラサービスになります。24時間365日、どこでも2時間以内に駆けつけて復旧させるために、全国と一部海外にも拠点を置いて展開しています。

 また、安全面にも力を入れており、今年はOHSAS18001の認証を取得しました。ISO9001は1999年に取得しているのですが、オークラサービスには「安全」も必要ですので取得しました。最近は昔と違ってメーカー責任を問われることも多くなってきていますので、そういう意味でも安全には力を入れています。

2.「社内大学」があると伺ったのですが。

 現在の業務は、人力に頼っているのが実情です。大きな配送センターだとコンベアの総延長が数キロ、あるいは数十キロにもなります。物言わぬ機械のどこが壊れているのかを見つけるには、一人や二人の人間では大変な作業ですから、当然人も多く投入することになります。

 そういう事もあり、当社では比較的早い段階から人材育成に一生懸命に取り組んで来ました。技術を身につけるための「社内大学」を開設し、独自のエンジニアの資格制度を設け、監督者の資格として「ASV」「SV」「GSV」と言う資格を認定しています。他にもロボット整備士やコンベアの整備士などの資格制度も設けております。このような有資格者は資格バッチを付けているので「この人はこういう事ができます」とすぐに解ります。新入社員は入社後まず社内大学で有資格者に育ててから配属することで、お客様に満足して頂けるようにしています。客先へ派遣した人がどういう働きをするかが非常に大切になってきますから、個人の力量と言うものを非常に重視しております。

 そこで、オリジナルの資格制度を作り上げました。これを導入した一つには、年功序列じゃなく能力・実力主義に転換しなければと言う思いがあったからです。オークラグループでは組織表と氏名・顔写真を壁に貼って一目で人の配置がわかるようにしています。そうすることで、一人一人が組織の中で100%、120%の力を発揮してくれれば、思っている以上のパワーが生まれます。

 定年を迎えて引退される方がいる時など、誰を後任にするか、組織表を眺めて考えていると、不思議ですけど、できる人の写真はピカピカ光って見えてきます。そういう人をどう育てるかなんですよ。将来お客様から「今度の現場もあの人でお願いします」って逆指名を頂けるようなエースを育てられる経営、そういう人の力を活かす経営が一番大事だと考えています。

3.新しく設立された事務所について教えてください。

 先日、北関東に開設した新事務所は、一階がショールーム兼トレーニングセンターになっており、通常の営業所とは少し異なります。トレーニングセンターには実機を設置し、お客様に対して社内大学の公開講座を開講しています。最初は本社(加古川)だけで行っていたのですが、東日本のお客様にもご利用頂きやすいように北関東事業所を開所するに至りました。一回の受講者は約10人以下です。実機を触って頂くのでベストは5〜6人です。学長、主任教授など、講師陣は60歳を超えた社員OBで、受講生には自社の認定制度に基づいた試験結果により資格を認定しています。現在は加古川、北関東、シンガポールの3箇所で公開講座を行っており、英語圏のお客様にはシンガポールを利用して頂いています。公開講座は大変盛況で、世の中の機械を扱う工場の方々、あるいは流通業の方々の安全への関心の高まりを感じています。

4.物流機器の工事及びメンテナンスに関するエピソードはありますか?

 あるアメリカ系企業のシンガポール工場での出来事が大変記憶に残っています。機械の据付途中に調整ミスがあり、機械が乗り上げるという失敗をしてしまいました。エンジニアが工場長に「明日の朝までに直します」と言ったのですが、現場を見ていた工場長は「そんなものが数時間でなおるわけがない」とひどく怒っていました。ところが、エンジニアは本当に朝までに、もちろん見た目までは完璧ではありませんが、精度はしっかり出して稼働できるように修理を終えたのです。そうしましたら、今度は工場長がえらく感心してくれ、それ以来大変信頼して頂けるようになりました。そして、その方が上海へ転勤になった後も、今度は上海から同じ製品を発注して頂き、現在までずっと続けてお仕事をさせて頂いています。私たちオークラサービスの仕事と言うのは「災い転じて福となす」と言うことができると思うのです。

 メンテナンスと言うのは、私たちやる方もお客様も、仕事が終わると共通の達成感を持てるのです。不具合が出ている事でお客様は非常に困っているし、こちらも何としても直そうと努力するわけです。そういう思いが一緒になって、直った時には非常に感謝して頂けますし、それとともに我々も大きな達成感を感じます。辛い思いをすることも多いのですが、このような面白みが解れば素晴らしい仕事だと思います。

5.今後の展開についてお聞かせください。

 機械と言うのは、上手に使っていけば、長くご愛用頂けます。我々のオークラサービスの使命というのは、そうやってお客様の操業度をより長く維持するお手伝いをすることだと思うのです。

 また、生産能力が足りなくなってきたからグレードアップしたいと言う要望もあり、それに応えられるような技術力も必要なのです。

 グループでは現在約900人を雇用しているのですが、それだけの人間がこの一角で生活しているわけです。メーカーが生き残るために必死になって頑張ることは、この地域のみんなが幸せになっていくことにつながるのです。大手メーカーは平気で海外へシフトしていますが、日本は産業立国なので、コストだけで勝負するのではなく、将来のために隠れた技術の伝承をもっと重視するべきだと思います。我々もオークラサービスの35年間のノウハウを理論的に確立して、同業者との差別化を図らないと生き残れないと考えています。

 今後の展開として、トレーニングセンターを含めた海外展開の必要性を感じています。現在オークラ輸送機の売り上げの約10%が海外への販売です。ですから我々オークラサービスも海外のお客様のためにグローバルな展開を視野に入れています。

6.プライベートな質問ですが、何かご趣味はありますか?

 古銭の蒐集です。以前は日本のものに興味があったのですが、最近では中国のものを集めています。月に一度会合があり、コレクションを持ち寄って楽しんでいます。その後は必ず飲み会になるのですが、そちらの方が楽しみなのかも知れません。古銭を肴に仲間で集まってワイワイするのは本当に楽しいです。後はゴルフと、最近ではダイビングも始めました。
古銭 左:日本の古代の貨幣コレクション
右:江戸時代に作られた大黒天と宝珠文様の硬貨(用途不明)(上)と朝鮮の別銭(下)
※別銭とはお祝事の際に豊かさや幸福を祈って飾ったもの


7.当社の事業でご興味をもたれていること、また今後当社に何を期待されていますか?

 お客様からも「壊れる前に言ってくれ」とよく言われるのですが、これが一番難しい。現在の我々の主力は何かが起こってから直す「アフターサービス」ですが、これからは何か起こる前に直す「ビフォアサービス」、いわゆる予防保全をもっと強化しないといけない。

 現在、現場エンジニアへは装備の近代化を命じています。以前は職人の勘に頼っていましたが、これではお客様を納得させることはできません。温度も振動も測定できるのですから、それなりの装備を持って点検・検査、オーバーホールに望めば、若手の社員でも色々なことを見逃さずにチェックできるようになると思います。また、使用部品の耐用年数や設備の寿命管理ができるようになれば、設備が故障する時期や修理にかかる時間も予測でき、的確なメンテナンスが行えます。タイミングよく、それなりの装備による確実な点検を行えば、本当に必要な修理だけを確実に行えるようになります。

 川重テクノサービスであれば分析・解析などのデータ収集から、お客様を説得できる報告書まで、色々なノウハウをお持ちだと思いますので、この機会に相談に乗って頂ければと思います。


大庫氏略歴
【経  歴】
昭和55年3月 関西学院大学商学部卒業
昭和55年4月 三ツ星ベルト株式会社入社
昭和62年1月 オークラサービス株式会社入社 取締役営業部長就任
昭和63年4月 同社代表取締役営業部長就任
平成元年9月 オークラ輸送機シンガポール現地法人設立 代表取締役就任
平成4年5月 オークラ輸送機マレーシア現地法人設立 代表取締役就任
平成7年3月 オークラサービス株式会社 代表取締役社長就任
平成9年12月 オークラ輸送機株式会社 取締役就任
平成13年9月 オークラ輸送機株式会社 取締役副社長就任   
現在 オークラサービス株式会社 代表取締役社長
兼オークラ輸送機株式会社 取締役副社長
【JC経歴】
平成6年 シンガポールCITY JC理事長
平成7年 シンガポールCITY JC副理事長
平成8年 JCI アジアネットワーク委員会 副委員長
平成9年 JCI APDC関係委員会 事務総長