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技術レポート

見えない内部構造・欠陥を非破壊で検査するX線CT

 X線CTは、X-ray Computed Tomography の略称で、CTはコンピュータ断層撮影の意味です。すなわち、X線を利用して物体を走査し、コンピュータを用いて処理することで、非破壊で物体の内部断面画像や欠陥の画像を得ることができます。ここでは、X線CT装置の概要と利用例についてご紹介します。

1.X線CT装置

 X線CTの装置を写真1に示します。試料を試料台に乗せて、X線発生器からX線照射しながら試料を360度回転させ、透過X線をX線検出器にて可視光像に変換し、360度透視画像データ(透過像)を取り込みます。この透過像は、X線の透過量の差をコントラストで表示するものです。
 CT像は、透過像を演算し、断面方向の2次元(2D)画像データをソフト上で再構成、計算を行うことで、3次元(3D)画像を構築します。
 試料のサイズは、φ500×H500mm、重さは21Kgまで試料台に設置できます。ただし、測定範囲は約100mm角までです。
 X線透過厚さは、写真1に示すとおり、目安として鉄鋼で15mm、アルミ合金で75mm前後ですが、材料により、試料の形状や測定条件により可能な範囲が多少異なりますので、個々にご相談ください。
 なお、寸法精度については、参考程度であり、透過像に基づいて計算しますので、数%程度の誤差があります。

写真1 X線CT装置

[試料サイズ]

最大寸法
φ500×H500 mm
最大重量
21kg (治具含む)
測定範囲
約100mm□

[X線透過厚さ](形状・条件により増減あり)

プラスチック
125mm
アルミ合金
75mm
鉄鋼
15mm

2.得られる情報、データ

 X線CT装置では、手軽に部品の内部構造や材料の内部欠陥を非破壊で3次元観察や検査ができます。また、次のようなことも可能です。

  1. 任意の位置での断面観察が可能です。
  2. スライス画像の作成が可能です。
  3. 連続したスライス画像を動画として構築することが可能です。
  4. 3Dカラーイメージ表示など画像に色合いをつけることで評価目的にあった観察が可能です。

3.X線CT測定例のご紹介

 X線CT測定例としては、締結部品、電子部品、電池、電線、溶接部(欠陥)、アルミダイキャス(欠陥)、樹脂・ゴム製品等があげられます。測定例をご紹介いたします。

(1)電池内部構造の観察例

 角型電池の内部を3次元観察したものを写真2に示します。X線CT像で正面、側面、水平に断面をスライスし観察した像を示しています。連続した動画で観察し、自由に観察したい位置で画像を撮影することもできます。

写真2 電池の内部構造

(2)溶接欠陥検査例

 アルミニウム溶接継手の溶接欠陥の検査結果を写真3に示します。欠陥(空孔)の多い場所を狙って断面スライスした画像を示しています。欠陥の大きさ、体積、面積などによりカラー表示で分布状況を表現できます。

写真3 アルミ溶接部の欠陥

 以上のように、X線CTは、部品の内部構造や材料の内部欠陥を非破壊で3次元的に観察・検査できるものです。いろいろな角度、方向から自由に観察でき、一番観察したい断面を見ることができます。また、全体の内部構造、欠陥分布を動画でも観察できます。
 単に、内部構造や欠陥を観察・検査するだけでなく、使用前後の部品について観察を行うことにより、その損傷、劣化程度を評価することができます。
 いろいろな応用が可能と思います。 当社では、お客様からのご要望に対し、スピーディーに、精度良く、満足していただけるよう対応しています。