技術分野

構造・流体解析

技術レポート

FEM解析による強度評価の勘所(1)

-FEM解析で片持梁の応力は正しく求められない?-

 近年、製品開発・設計やトラブル対応などでFEM(有限要素法)を用いた応力解析が行われることが多くなっています。FEM解析する人が設計者であったり、解析専任者であったり、場合によっては、当社のような解析サービスを行う専門業者に依頼することもあるでしょう。解析結果の評価(強度評価)は、解析者自身が行ったり、経験豊富な上司または専門家に依頼する場合も考えられます。
 いずれにしましても、強度評価で必要とする値が求められるFEM解析を行うことが重要であり、要素分割の粗密も強度評価法と分けて考えることはできません。ここでは、 「FEM解析は要素分割を細かくしていくと正解が求められるか?」という疑問に対して、解説します。

 図1に示す集中荷重を受ける片持ち梁を例に要素分割数と解析精度の関係について考えます。片持ち梁の解析はFEM解析を始めたら、まず、最初に行う方が多いのではないでしょうか。
 鋼材を想定した物性値を与え、平面問題として4節点4角要素(MSC NASTRAN のCQUAD4)で梁の長手方向を5分割、高さ方向を2分割して、まず、解析します。
 図2に示すように、たわみは、曲げとせん断を合わせた梁理論解に近い値が得られましたが、梁理論の曲げ応力σ=100MPaより小さい約90MPaとなっています。

 そこで、要素分割を倍々とした解析を行い、要素分割と精度の関係を調べることにしましょう。高さ方向の分割と解析精度の関係は図3のようになります。

 図3から次の結論が得られます。

 さて、はたして、この結論は正しいのでしょうか?
 FEMモデルでは、梁の固定端を完全固定(剛体と結合)として条件を設定しています。この場合には、固定端コーナ部は応力の特異点となり、弾性応力解析では理論的に無限大となるため要素分割を細かくしていくほど応力が高くなります。