技術分野

構造・流体解析

技術レポート

FEM解析による強度評価の勘所(2)

-強度評価の方法に見合うFEM要素分割の粗密-

 この要素分割数でよいでしょうか?
 と若手の解析者に聞かれることがあります。
 まず言うのは、この解析結果を用いてどのように強度評価をするのか決めていますか!
 それは、強度評価の方法に見合うように要素分割の粗密を変える必要があるからです。
 すなわち、ピーク応力を用いた強度評価では、R部などの応力集中が求まる細かな要素分割を、平均的な応力を用いる強度評価では平均的な応力が求まる比較的粗い要素分割にする必要があります。
 強度評価に用いる応力の種類と要素分割の粗密の関係を説明します。

(1)ピーク応力で強度評価する場合

 母材の疲労強度の評価によく用いられる方法です。

(2)平均的な応力で強度評価する場合

 溶接部の疲労強度評価法の一つとして突合せ溶接、隅肉溶接などの溶接継ぎ手形式毎に強度等級を設け、その継ぎ手に作用する平均的な応力を用いて強度評価する方法があります。

(3)ホットスポット応力を用いて強度評価する場合

 溶接部の強度評価のために、溶接止端部の溶接形状による応力集中を除いたピーク応力を求めて強度評価を行う方法です。

(4)K値などの破壊力学パラメータを用いて強度評価を行う場合

 亀裂進展や不安定破壊の評価のためにK値(応力拡大係数)やJ積分などの破壊力学パラメータを求めて強度評価する方法です。

(5)規格に沿って強度評価する場合

 圧力容器の規格、クレーン規格など、製品ごとに強度設計基準が定められている場合があります。この規格を用いて強度評価する方法です。

(6)実績に基づいて強度評価を行う場合

 実績に基づいて強度評価を行う場合があります。この場合、実績のある製品の応力と強度評価をしたい製品の応力を比較して、実績以内の応力であるかどうかを判定します。この強度評価法では比較する製品の応力計算の精度を同一とする必要があります。

 上記に述べましたように、FEMの要素分割の良し悪しは、強度評価の方法と密接に関係します。すなわち、強度評価の方針を立てた上で、要素分割の粗密を考える必要があります。