技術分野

構造・流体解析

技術レポート

「累積相当塑性ひずみ」について

「累積相当塑性ひずみ」は塑性を考慮した解析から出力され、しばしば評価などに利用されます。
ここではその「累積相当塑性ひずみ」について説明します。

1.弾性ひずみと塑性ひずみ

 材料の単純引張試験などから得られる応力-ひずみの関係を図1に示します。ここで、全ひずみ は、弾性ひずみ と塑性ひずみ に分けられます。

図1 応力-ひずみの関係

2.相当塑性ひずみ

 組合せ荷重が作用した場合に生じる塑性ひずみ の各成分を用いて、相当塑性ひずみは以下の式より求められます。(ミーゼス相当応力 と同様の考え)

ここで、 :相当塑性ひずみ

:塑性ひずみ成分

[出典:製造設備等耐震設計指針]

3.累積相当塑性ひずみ

 累積相当塑性ひずみは、繰り返し荷重が作用した場合に蓄積される累積の相当塑性ひずみ となります。簡単に説明するために1軸方向とした図2の応力-ひずみの関係を用いると、累積相当塑性ひずみは以下となります。

図2 応力-ひずみの関係(移動硬化則)

【応力-ひずみの関係の計算例】

 図3の応力-ひずみの関係のグラフは、実際解析した全時間分の出力結果をプロットしたものです。
 グラフを見て頂くと、解析条件として定義した応力-ひずみの移動硬化則の定義に基づいて、繰り返し荷重によって、ループを描いています。
 また、この例の場合、1サイクル~155サイクルの相当塑性ひずみの増分を累積した値が、「累積相当塑性ひずみ」となります。

図3 応力-ひずみの関係の計算例