技術分野

化学

事例・実績

ネジロック剤の調査

はじめに

 ボルトを用いた製品の組上げに欠かせないのが、ネジロック剤ですが、塗布のし忘れ、塗布量の不足、誤った施工方法等により正常な強度が得られず、製品の不貝合に繋がる事例が見られます。ネジロック剤の不貝合原因は主に次のようなものです。

  • ロック剤の塗布漏れ
  • ロック剤の塗布量不足
  • 異材混入による硬化不良

 当社では提供頂いた不貝合ボルトのネジ部より残存物質を採取し、機器分析を行うことにより、不貝合原因の推定を行っています。

赤外分光分析装置(FT-IR)

フーリエ変換型赤外分光分析装置(FT-IR)

 不具合ボルトのネジ部より回収した物質の調査には赤外分光分析装置を利用します。この装置にて分析を行うことにより、ロック剤が残存しているか、ロック剤は硬化しているかの情報を得ることができます。また、ロック剤が硬化していなかった場合には異材が混在している可能性が考えられますが、どのような物質が混在しているかについても情報が得られる場合があります。異材についてより詳しい情報が必要になった場合には別法による調査を推奨しています。

測定実施例

 未硬化のネジロック剤(原液)、硬化後のネジロック剤について赤外分光分析を行った例です。同一の物質を対象にしていますが、硬化反応によりスペクトル変化していることが分かります。不具合ボルトのネジ部より回収した物質のスペクトルをこれらと照合することにより、ロック剤の有無、硬化の度合いを推定しています。また、当社では利用頻度の高いロック剤については硬化前後のロック剤についてデータを保有しております。

ネジロック剤の赤外吸収スペクトル

よくあるお問合せ

どの程度の試料量があれば調査可能ですか??
不具合ネジ一本があれば、ほとんどの場合調査が可能です。
使用しているロック剤の提供は必要か?
利用頻度の高いものであれば当社でデータを保有していますが、利用頻度の低いものについては未使用ロック剤の提供をお願いします。