技術分野

化学

技術レポート

高分子膜の劣化解析のご紹介

はじめに

 当社では品質保証や製品開発に役立つ技術として、樹脂・ゴムなどの高分子材料の劣化解析や耐久性評価を行っております。高分子材料は金属や無機材料に比べて圧倒的に劣化しやすく、使用環境の影響を受けて経年劣化や破壊が圧倒的に起こりやすい材料です。ここでは、高分子膜の劣化解析について事例を紹介します。

概要

 例えば、水処理膜などの高分子膜は強アルカリ水溶液中に長時間暴露されると経年劣化が促進されるため、強アルカリ性環境下での長期耐久性が要求されます。そこで本件では、ハイブリッド膜のアルカリ浸漬品について動的粘弾性(DMA*)を利用した劣化解析を行いました。

*DMA:Dynamic mechanical analysis

解析事例

■ハイブリッド膜のアルカリ浸漬による影響

 材質の異なる2層(A層,B層)で構成されたハイブリッド膜を強アルカリ水中に長期間浸漬し、アルカリ浸漬品および新品について動的粘弾性試験を行い、アルカリ浸漬による劣化状況を観測しました。
 ハイブリッド膜から得られた粘弾性挙動のうち、Tanδ(損失正接)の温度分散分布に着目すると、A層およびB層は何れも固有の温度域に緩和挙動を示すことがわかりました。また、損失正接の変化をもとに分子運動性解析を行ったところ、A層の分子運動が消失することがわかりました。一方、B層は新品時と同等の分子運動性を有していることがわかりました。このことから、当ハイブリッド膜は使用中においてA層が劣化しやすいことがわかりました。