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材料評価

技術レポート

孔食、すき間腐食試験

 金属が腐食する要因と、その要因を考慮した浸漬腐食試験について述べます。特に腐食事例として最もよく起こるステンレス鋼の孔食、すき間腐食を評価する浸漬腐食試験方法についてご紹介します。

1.金属が腐食する要因

 金属が腐食する要因は様々で、耐食材料を選定するにも、事故が起こった後から腐食原因を調査するのも大変難しいものがあります。
 水溶液により腐食が起こる場合、その要因は主に以下のようなことが考えられます。

(1)金属材料の面から

(2)使用される環境面から

(3)その他

2.孔食、すき間腐食試験の例

 浸漬腐食試験は、上記に示した腐食要因を考慮して、実際の雰囲気を模擬した試験と、特定の腐食因子に着目した促進試験があります。
 ステンレス鋼で特に問題となる孔食やすき間腐食を評価するための促進腐食試験の例として、塩化第二鉄腐食試験が挙げられます。これは、腐食液の中にステンレス鋼を浸漬し、重量の減少量を求めたり、孔食やすき間腐食が発生する最低の温度を求めるなどの試験です。規格化されたものでは、JIS G 0578 や ASTM G48 などがあります。

 ASTM G48 Method D【すき間腐食発生臨界温度(CCT)の測定】を例として紹介します。(※CCT試験:Critical Crevice Temperature Test)
 この試験方法は、下図のような形状のテフロン製ワッシャーを試験片両面に取り付け、ボルト・ナットで固定して試験溶液に浸漬します。
 このようにして、一定温度で72時間浸漬の後、試験片のワッシャー接触部分に、すき間腐食が発生したかどうかを調べます。
 試験開始温度は、合金元素の含有量(%)から算出されます。
 この試験開始温度から通常5℃ピッチで試験温度を上げ下げし、CCTを求めます。
 なお、CCTは、すき間腐食が発生する最低の温度です。すき間腐食が発生しない最大の温度とよく間違われるため、注意が必要です。

テフロン製ワッシャー
CCT試験片の例

3.あとがき

 腐食による損傷が発生すると、腐食原因を調べたり、防食対策、材料の選定等簡単には解決できない問題が多数起こります。当社では、腐食損傷原因調査として、腐食生成物の分析や金属組織観察、材料強度試験等から総合的な調査を行なっています。さらに、腐食試験、防食対策や材料選定の相談などを日常的に行なっていますので、お気軽にご相談ください。