技術分野

材料評価

材料屋が教える豆ネタ

見えない恐怖

鋳造品では、その形状が複雑なものであったり、肉厚の相違が大きくなると凝固収縮に伴って引張応力が残留することがある。この有無は、一般的に材料試験として実施されている金属組織観察や硬さ測定等では見えず(判別できず)、切断法(ひずみ測定法)やX線法1)による測定が必要となるため、考慮し忘れることが多い。これが存在することで、著しく疲労強度が低下した実例もあり、機械部品(鋳造品)の破損を誘発することを懸念しなければならない。通常は、これを解消するために500~600℃程度で熱処理(応力除去焼なまし)2)を施工しているが省略される場合もある。

参考文献:1)社団法人 日本熱処理技術協会および日本金属熱処理工業会編
       “熱処理技術入門”,P.180,株式会社大河出版(1982)
     2)例えば,日本鋳造工学会編:“鋳物便覧 改訂4版”,P.535,株式会社 丸善(1986)

(2004/10/13)