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ゲリラ豪雨と微生物腐食

大都市圏等ではゲリラ豪雨(局地的大雨)に見舞われ、死者が出るような惨事になる例が認められる。このゲリラ豪雨は、金属材料に対しても影響を及ぼし得る気象である。最近の損傷事例の中でよく目にするのが微生物(バクテリア)腐食である。その損傷事例全てに当てはまるとは思えないが、要因の一つとしてゲリラ豪雨の関与が疑われる。
各家庭から排出される生活排水には、洗剤や米のとぎ汁の成分としての窒素やリン等(富栄養化要素)が含まれているため、通常は一度貯水して処理を施してから海に流しているが、ゲリラ豪雨に見舞われて貯水槽が一杯になると、雨水に混ざって生活排水が無処理のまま海に流れ込む。そうなると、沿岸部ではプランクトンが大量に発生する。プランクトンが大量死して海底に堆積すると、これを分解するためにバクテリアが大量に繁殖する。プランクトンの大量死によって沿岸部は嫌気状態になっているため魚の姿は全く見られず、逆に嫌気を好むバクテリアの発生につながる。このような状態の海水の利用等が、腐食に至らしめるのではないかと考えられる。微生物腐食のマクロ的特徴として、腐食速度(減肉量)に比べて腐食生成物がはるかに多く生成する傾向が見られ、特に配管等では短期間に閉塞する可能性もあり得る。

(2009/10/23)