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技術レポート

LNG船用タービンプラントシミュレータ

 LNG船の多くは機関がボイラ、タービンプラントで構成されており、運転の安全性を高めるには、乗組員の訓練と技術の向上が欠かせません。さらに世界的な船員不足が問題になっており、シミュレータによる訓練は重要度を増しています。このような状況に対応して、川崎汽船(株)殿より運航に関わるノウハウをご教示いただき、川崎重工業(株)、(株)川崎造船と共同でLNG船タービンプラント運転訓練シミュレータを開発しました。

1.はじめに

LNG船タービンプラントシミュレータ

【図1.LNG船タービンプラントシミュレータ】

1.シミュレータの概要

 本シミュレータは実船とほぼ同じ操作盤に加え、バルブや機器の操作にVR(Virtual Reality)などのマルチメディア技術を融合した現場操作模擬端末を装備しており、起動・停止を含む通常操作から事故発生時の緊急操作まで幅広い訓練に対応しています。また、実船の動画や360度静止画像により機関室内を実際に歩いている感覚で、機器の配置や機能を学習することができる機関室ツアーシステムも装備しています。

LNG船タービンプラントシミュレータ

【図2.VRシミュレータ画面例】   【図3.機関室ツアー画面例】

2.システムの構成

 プラントシステム、制御システムの数式モデルの計算、シミュレータ機能の統括を行う主計算機にはEWS(Engineering Work Station)を用いています。各操作盤とのデータ通信はボードコンピュータで構成される入出力装置を用いており、バス結合により高速データ伝送を実現しています。インストラクタステーション、IMS(Integrated Monitoring & control System)模擬装置、VRシミュレータ、機側CRT、系統図パネル/音響模擬装置はパソコンで構成されており、主計算機、プリンタとはLANにより結合しています。

LNG船タービンプラントシミュレータシステム構成図

【図4.LNG船タービンプラントシミュレータシステム構成図】

3.シミュレータの特長

 入出渠作業を含むプラントアップ、プラントダウン、ボイラ起動、ボイラ消缶などの通常作業だけでなく、予め登録された故障、異常模擬機能を使った緊急操作など船上でのほとんどの作業を機関室内での現場作業とECR(Engine Control Room)での運転操作を連携して行うことができます。

 当社では既にLNG船荷役運転訓練シミュレータ、オイルタンカー運転訓練シミュレータを納入しており、今後も海上の安全輸送、船員育成に運転訓練シミュレータを通して貢献していく所存です。