ショールーム 業界の今を知る
 
1.はじめに
 皆さん、分析結果に疑問を持たれたことはありませんか? 誤差はどれくらいあるのかと考えたことはありませんか? 通常、分析の依頼者は信頼できる結果が得られることを前提として分析を依頼されます。一方、分析担当者は信頼できる結果を出す責任があり、精度の良い結果が出る方法を選定し、誤りが出ない品質システムで分析を行います。試験所認定制度は、その品質システムを権威ある認定機関が審査を行い、特定の試験(分析)を行う能力を持つことを認定する制度です。つまり、第三者により分析結果の品質が証明されることになります。認定されるためには、技術的に多くの要求事項を満たす必要があります。当社は、より信頼性の高い分析試験結果を出すことのできる品質システムを構築して、試験所認定を取得いたしました。
オゾン劣化で損傷したゴムホース
【認定マーク】
2.ISO/IEC17025とは
ISO/IEC17025とは、「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」に関する国際標準規格です。ISO9001が組織全体の品質システムが対象であるのに対し、ISO/IEC17025は特定の試験が対象となります。ISO9001と同等の管理的要求事項と試験に関する技術的要求事項の2つから構成されています。技術的要求事項において、特徴的な項目は、不確かさ、内部精度管理、外部技能試験です。
・不確かさ
誤差の範囲を不確かさで表します。例えば、分析結果を「0.78%±0.02%」と表示します。「±0.02%」が不確かさです。これは、真の値が0.76〜0.80%の間に96%の確率で存在することを表わしています。不確かさは、標準品、器具・機器の不確かさ、操作の繰返し性などの試験に関わる全ての項目から求めます。また、毎年、不確かさを求め、値を小さくするための継続的改善を行なっていきます。
・内部精度管理
繰返し再現性、日間比較、要員間比較を行います。繰返し再現性は、繰返し試験を行っても再現性があること。日間比較は、異なる日に試験を行っても同じ値が得られること。要員間比較は異なる試験員が試験を行っても同じ結果が得られること。これらを満たしているかを毎年確認します。
・外部技能試験
第三者提供の技能試験プログラムへの参加が義務付けられています。このプログラムへの参加により、試験所間で差が無いことを確認します。
・認定マーク
認定されると冒頭の認定マークを報告書に記載します。その意味は次の通りです。
ILAC(国際試験所認定協力機構 International Laboratory Accreditation Cooperation)、MRA(相互承認協定 Mutual Recognition Arrangement)の略で、ILACに参加している認定機関は、お互いに認め合う取り決めとなっており、試験結果が国際的に通用します。
認定機関のマーク。当社はPJLA(ペリージョンソン ラボラトリー アクレディテーション インク)より認定を受けました。
3.当社での認定取得項目
現在では下記範囲で認定を受けています。
認定番号 試験分野 試験対象 初回認定日 適用された仕様、規格に規定された方法または手法
87683 化学的試験 鉄鋼 2016.7.1 JIS G 1258
ICP発光分光分析方法
(Mn,Ni,Mo,Cu)
89363 機械的試験 金属 2017.4.6 JIS Z 2245
ロックウェル硬さ試験−試験方法
89363 機械的試験 金属 2017.4.6 JIS Z 2241
金属材料引張試験方法
4. おわりに
ISO/IEC17025は試験所の技術能力を証明するものであります。国内外でその需要が高まってきており、試験所・校正機関の品質・能力には欠かせない国際規格となっています。試験所認定は、信頼性のある試験所として試験及び校正業務を提供できる証となり、国際的に認められていることを意味します。引き続き、ISO/IEC17025品質マネジメントシステムを維持し、信頼性向上に努めてまいります。
(2017/7)
分析ソリューション部 分析技術課
渡瀬 仁敏
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