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私たちは日々、スマートフォンなどの小型モバイルをはじめ、自動車や鉄道などの大型モビリティなど、様々な製品を利用することで、快適で便利な生活を送っています。これらの製品の中には、屋内だけでなく、砂じんや粉じんが多い過酷な屋外環境で稼働し続けるものもあります。そのため、粉じんの侵入による故障や性能低下を防ぐには防じん性能の評価は欠かせません。
近年、普及が急がれている大型の電力変換装置や蓄電池も、多くの場合、屋外で使用されるため、防じん性能の確認が求められます。さらに、2021年には国際規格 IEC 62933-5-2 を基に JIS C4441 が発行され、その中で粉じんは「電気的危険源」「爆発的危険源」とされ、蓄電池を対象とした防じん試験のニーズが高まっています。
しかし、このような大型製品は、既存の試験施設までの輸送が極めて困難であり、仮に輸送が可能であったとしても大型製品に対応した試験設備が整備されていないため、試験の実施自体が事実上不可能な状況にあります。
そこで当社では、こうした課題を解決するため、現地で試験を行う「オンサイト型防じん試験」の提供を開始しました。現場で試験を実施することで、大型機器の信頼性評価をより柔軟かつ効率的に行うことが可能になります。
当社はこれまで、大型防じん試験装置を用いて多くの試験を実施してきました。しかし従来の防じん試験は、製品を当社に輸送いただくしかなく、対象となる製品のサイズも制限されていました(設置可能サイズ:W3.1m×D2.0m×H2.5m)。
一方、オンサイト型防じん試験は、従来の大型防じん試験装置で対応が困難な製品サイズに対しても試験が可能となります。
オンサイト型防じん試験は、製品設置場所において簡易試験槽を組み立てて、粉体供給装置、送風機、集じん機などの試験機材を搬入し、現地で試験を実施する出張型の防じん試験です(図1)。
定置型の電力変換装置や蓄電池など移動が難しい機器に対して有効な方法です。また、オンサイト型防じん試験の特長として、隔離された試験室内ではなく、製品が設置されている環境(温湿度や実際の設置状態など)で防じん性能を評価できる点にあります。
図1 大型屋外設備の防じん試験イメージ
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表1に従来の大型防じん試験と比較した特長を示します。
| 従来の大型防じん試験 | オンサイト型防じん試験 |
|---|---|
| 試験体輸送必要 | 試験体の輸送不要 → 大型製品や輸送困難な設備に対応 |
| 試験室での条件 | 現場条件を再現 → 実使用環境に近い評価が可能 |
オンサイト型防じん試験でも、規格に準拠した対応も可能です。対応可能な規格の一例を紹介します。
【対応可能規格】
当社のオンサイト型防じん試験は試験装置をモジュール化しているので、現場での迅速な設置が可能です。また、試験槽のサイズや形状も現場の状況に応じて柔軟に調整可能です。
これまでの実績から試験槽は約3日で組立可能であり、電源や制御装置もコンパクトにまとめているため限られたスペースでも設置可能となっています。
粉じん暴露については、製品全体を対象としたもの(図2左図)や、フィルター部などの特定箇所のみ(図2右図)を試験対象とすることも可能です。フィルター部を試験対象とした場合、製品内部ファンを運転することが多いですが、製品全体を覆うことにより本試験中に侵入した粉体が外部へ漏れ出す心配もありません。
また、粉じん暴露状態の均一性確保などを考慮して最適な方法をご提案させていただきます。
図2 粉じん暴露イメージ(左:全体暴露、右:部分暴露)
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ここでは、お客様の敷地内で実施した事例をご紹介します。
開発最終段階の12ftコンテナ型電力変換装置に対し、JIS C 0920 IP5Xに準拠したオンサイト型防じん試験を実施しました。
写真1にこの試験での簡易試験槽外観を示します。簡易試験槽は、12ftコンテナ型電力変換装置がそのまま入り、装置全体が均一な粉じんで暴露可能なようにW4.5m×D4.0m×H3.5mのサイズで製作しました。
また、事例よりもさらに大型となる20ftコンテナ型蓄電池を対象としたオンサイトでの防じん試験を計画しており、この試験では簡易試験槽もさらに大型のW8.2m×D4.5m×H3.5mとしています。
このように当社のオンサイト試験は単なる規格試験にとどまらず、お客様の課題に柔軟に対応をすることが可能な試験です。
なお、お客様の敷地内での実施が難しい場合、当社が試験場所の検討をお手伝い致します。
写真1 簡易試験槽外観
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オンサイト型防じん試験は、お客様の課題解決を支援するための実践的なソリューションです。
これにより、輸送コストの削減やリードタイムの短縮、実環境に即した性能検証による信頼性向上といった成果が期待できます。
当社は、現場での柔軟な対応力を強みに、製品開発のあらゆるフェーズで信頼性評価をサポートします。「できない」ではなく、「どうすればできるか」を常に考え、試験方法をご提案しています。
| トータルソリューション推進部 第三課 宮本 健二 |
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